スマートレポートなど3機能 チームの費用と使い道が見える
Anthropicは10月28日(米国時間)、Claude Enterprise向けに3つの機能を一般提供した。チームの使い方を分析するスマートレポート・チャットの中に出すアンケート・グループで月の予算を分け合うプール予算だ。どれも9月にベータ版として出していた機能になる。
スマートレポートは、管理者がチームと期間と製品を選ぶと動く。Claudeが会話の一部を読んで仕事の流れごとにまとめ、それぞれに費用を付ける。できた物の種類や、つまずいた所(つないでいないコネクタ・失敗したツールの呼び出し)も並ぶ。
最後には直し方の一覧が付く。くり返している作業をスキルにする案や、コードの置き場に足すルールの案だ。費用は定価で計算した額で出る。
アンケートは、Claudeの返事のあとに短いカードとして出る。初めから入っている問いは「最近いちばん役に立った使い方」「明日使えなくなったら何が先に止まるか」など4つで、管理者が書き換えられる。答えは表計算のファイルに書き出せる。
プール予算は、よく使う人が月の前半で個人の上限に当たるのを防ぐ仕組みだ。個人ごとの支出の上限も残り、どちらか先に尽きたほうで止まる。予算の50%・75%・95%・100%に達すると、請求の権限を持つ管理者へメールが届く。

- 9月3機能をベータ版として公開
- 10/26AnthropicがIPOを申請(米国時間)
- 10/28Claude Enterprise向けに3機能を一般提供
使えるのはEnterpriseだけ 月10件まで無料でオフが既定
3機能の対象はClaude Enterpriseだけだ。スマートレポートの説明書が挙げるプランもEnterpriseだけで、Claude TeamやPro・Maxは入っていない。しかも最初はオフになっていて、オーナーが組織の設定から入れる必要がある。
Enterpriseでも使えない組織がある。暗号の鍵を自社で管理する構成(CMEK)とHIPAA構成、推論を自社のクラウドで動かすハイブリッド構成だ。Claude Codeの記録を残さない設定(ゼロデータ保持)の組織では、Claude Codeの分だけが分析から外れる。
スマートレポートは組織ごとに月10件まで無料だ。待ちの分と作成中の分も数に入り、失敗した分は数えない。枠は翌月1日に戻り、足りなければ営業の担当に相談する形になる。
| 項目 | スマートレポートの条件(公式ヘルプ) |
|---|---|
| 使えるプラン | Claude Enterpriseだけ |
| 最初の状態 | オフ。オーナーが設定で入れる |
| 無料で作れる数 | 組織ごとに月10件。失敗分は数えない |
| 分析できる期間 | 直近28日まで |
| 使えない構成 | CMEK・HIPAA構成・ハイブリッド構成 |
| Claude Code | ゼロデータ保持の組織では対象外 |
| できあがるまで | 数時間。できたらメールが届く |

名前は既定で「User」表示 情シスが先に決める線引き
レポートの中身を開いても、既定では誰の会話かは「User」としか出ない。名前を出すには組織の設定で別のスイッチを入れる必要がある。入れたあとも見た人が名前を出すたびに記録が残り、Anthropicは個人の評価や人事の判断に使わないよう説明書で断っている。
日本の会社では、ここが導入の前に止まる所になりそうだ。会話の中身をAIが読んで部署ごとにまとめる以上、社員への説明と社内規程の手当てが要る。名前を出す設定をオンにするかどうかは、情報システム部門と人事で先に決めておきたい。
部署ごとに絞るにも準備が要る。Claudeの組織の設定でグループを作るか、ID管理のサービスからSCIMで部署名や原価センターを送る形だ。部署名はコードでなく「経理」のような名前で送ると、絞り込みの画面でそのまま読める。
10月29日に日本語版の説明書を開くと、英語版と同じ中身がすでに載っていた。ただ機械で訳した言い回しが残り、つまずいた所は「摩擦」と訳されている。英語版のスマートレポートの説明書と見比べながら設定すると迷いにくい。

最初の1本は部署を絞る 28日分を数時間で読む
まず試すなら、オーナーが組織の設定の「機能」にあるアナリティクスの欄でスマートレポートをオンにする。そのうえで営業や経理のように1つの部署に絞って1本作る。説明書も、会社全体より部署ごとのほうが手を打ちやすい結果になると書いている。
分析できるのは直近28日までで、できあがるまで数時間かかる。月10件の枠は部署の数に合わせて割り振っておくとよい。プール予算は直近の使い方から金額の案が出るので、それを元に決めると始めやすい。
月の後半に「上限に当たって使えない」という声が出ている会社ほど、プール予算の効き目は大きい。上限を超えた人はClaudeの中から追加を頼めて、その頼みは管理者のもとへ届く。
- プール予算
- グループで1つの月の予算を分け合う仕組み。個人の上限も残り、先に尽きたほうで止まる
スマートレポートで一番効くのは、費用を仕事の流れ単位で見られる点だとみている。稟議で聞かれる「月いくら使って何が出たか」に、部署ごとの数字で答えやすくなる。一方で日本の会社では、AIが社員の会話を読んでまとめること自体に抵抗が出やすい。最初の1本は名前を出さない設定のまま1部署で作り、結果を人事や労務と一緒に見てから広げる順番が通りやすそうだ。TeamやProで使っている会社には、まだ届かない機能になる。
- Claude TeamやProでもスマートレポートは使える?
- 使えない。公式ヘルプが対象に挙げているのはClaude Enterpriseのプランだけだ。Enterpriseでも暗号の鍵を自社で管理するCMEK構成やHIPAA構成、推論を自社のクラウドで動かすハイブリッド構成の組織は対象外になる。使える組織でも最初はオフで、オーナーが組織の設定から入れる必要がある。
- スマートレポートは月に何件まで無料?
- 組織ごとに月10件までが無料だ。待ちの分と作成中の分も10件に数えられ、失敗した分は数えない。枠は翌月1日に戻り、それより前に足りなくなったら営業の担当に相談する形になる。1件で分析できるのは直近28日までで、できあがるまで数時間かかる。
- 社員の会話は名前つきで見られてしまう?
- 既定では名前は出ず「User」と表示される。名前を出すには組織の設定で別のスイッチを入れる必要があり、入れたあとも見た人が名前を出すたびに記録が残る。Anthropicは個人の評価や人事の判断にはスマートレポートを使わないよう説明書で断っている。
- プール予算を使い切るとClaudeは止まる?
- 止まる。プール予算と個人ごとの支出の上限の両方が数えられ、どちらか先に尽きたほうで使えなくなる。上限に当たった人はClaudeの中から追加を頼めて、その頼みは管理者のもとへ届く。予算の50%・75%・95%・100%に達した時点で請求の権限を持つ管理者へメールが届く。
この記事の出典
補助資料
- [1]ZDNET Japanこの記事の元にした報道
出典の最終確認日:2026年10月29日
