Claude、生命科学の制限を2段階で緩める 創薬や臨床開発が対象
Anthropicは生命科学の研究者向けに、Claudeの安全制限を緩める制度「Life Sciences Verification Program(LSVP)」をベータで始めた。対象は創薬や臨床開発、製造のような作業だ。いまの一般向けのFableモデルでは止められてしまう依頼を通すための制度になる。
早期の受け付けで数十の組織がすでに使っており、今回から広く申し込みを受け付ける。使えるモデルはMythos・Opus・Sonnetの3系統だ。審査で見るのは研究の実績とセキュリティの水準、それに倫理面の監督体制になる。
| 許可の種類(Anthropic公式発表) | Standard Use | High-risk Use |
|---|---|---|
| 向いている仕事 | 生物学の研究開発の大半 | Standard Useでも止まる領域 |
| 制限 | 科学の作業向けに緩めた判定器 | 生命科学の依頼を止める安全策を全部外す |
| 許可の単位 | チーム全体 | 研究プロジェクト1件ごと |
| 更新 | 1年に1回 | 6か月ごと |
| いま使えるモデル | Mythos 5.1・Opus 5・Sonnet 5 | Opus 5・Sonnet 5(Mythosはごく一部の組織だけ) |
サイバー攻撃向けの判定器など、生命科学以外の安全策はどちらの許可でも残る。サイバー分野にはすでにサイバー検証プログラムがあり、今回はその生命科学版にあたる。

対象は法人契約とAPIだけ 個人のProとMaxは外れる
LSVPを使えるのはClaude for EnterpriseとTeamプランの組織、それにAnthropicの開発者向け画面から使うAPIだ。申し込みページには、Free・Pro・Maxは今のところ対象外とはっきり書いてある。個人のプランへは今後広げるとしている。
AWSやGoogle Cloudなど他社の基盤を通したClaudeも、まだ使えない。米国の医療情報の契約(BAA)を結んだ組織もベータの間は対象外で、患者の健康情報を扱うなら別の組織に分けて使うよう求めている。
使える場所でも差がある。APIとClaude Scienceでは許可を切り替えられるが、Claude.aiとClaude Codeでは最初に決めた1つの許可しか効かない。

記録は30日残る その場で止めず後から見張る
LSVPでいちばん大きく変わるのは止め方だ。これまでは依頼のたびにその場で止めていた。LSVPでは依頼を通したうえで、後からまとめて使い方を見張る。悪用は多くの依頼に散らされると見つけにくいからだ。
そのぶん、LSVPを通った記録は30日間保存される。この保存はLSVPを使う条件として求められている。この記録は学習には使わず、Anthropicの生命科学の研究チームも見られないように分けるとしている。申し込みで書いた使い道から外れる使い方が見つかると、組織の管理者に知らせが行く。管理者はあらかじめ決めた期限の中で手当てをする。
日本の研究部門が先に確かめる3つ
まず自社のClaudeがどの経路かを見ておきたい。他社のクラウド経由で入れているなら、申し込む前に契約の形から考え直すことになる。
次に30日の保存だ。Enterprise Frontier Safeguardsの機能とどう組み合わせるかは、まだ検討中だとしている。記録を外に残さない決まりを社内で持っている会社は、法務とすり合わせる必要がある。
最後に使い道の書き方だ。申し込みでは求人票に書く程度の大まかな使い道を出し、その範囲で見張られる。社外秘の中身は書かなくてよいが、範囲を狭く書きすぎると研究者が毎回見張りに引っかかることになりそうだ。

入口はClaude Teamの2席から 年払いで月6,272円だ
LSVPそのものの料金は発表に書かれていない。Claude.aiの画面から使うなら、いちばん安い入口はClaude Teamになる。APIなら席の料金は無く、使った分だけを払う。AInformationは10月26日にClaudeの日本語の料金ページを開いて確かめた。
| プラン(Claude公式の料金ページ・10月26日確認・税抜き) | 料金 | 円にすると |
|---|---|---|
| Team スタンダード(年払い) | 1席 月20ドル・2〜150名 | 1席 3,136円・2席で6,272円 |
| Team スタンダード(月払い) | 1席 月25ドル | 1席 3,920円 |
| Enterprise | 1席 月20ドル(年払い・最低20席)とAPIの使った分 | 席の分だけで月62,720円から |
| Pro・Max | 個人のプラン | LSVPは対象外 |
円は1ドル156.8円(欧州中央銀行・10月23日)で計算した。Teamの料金表にはClaude Scienceも入っている。一方で日本語の料金ページを探しても、LSVPの文字は出てこなかった。日本語のURLで申し込みページを開いても、中身は英語のままだった。
- 自社のClaudeがTeam・Enterprise・APIの直接契約か確かめる
- 記録を30日残してよいかを法務と決めておく
- 使い道を部署ごとに書き分けて管理者から申し込む
申し込んでも参加が約束されるわけではない。Anthropicは最初の1週間で数百の組織を受け入れ、その後の数週間で生命科学の分野の大半へ広げる予定だ。
- High-risk Use
- LSVPの追加の許可。生命科学の依頼を止める安全策を全部外す代わりに研究1件ごとに出て、6か月ごとに更新が要る。
- Standard Use
- LSVPの基本の許可。科学の作業向けに緩めた判定器を使い、チーム全体に出て1年に1回更新する。
研究部門にとって大きいのは、止められる心配より申し込みで書く使い道のほうだとみている。LSVPは書いた範囲の外に出ると管理者へ知らせが来る。創薬や品質保証、薬事のように部署ごとに使い道を分けて書かないと現場の研究者が確認待ちで何度も止まりそうだ。もう1つは経路の問題になる。AWSなど他社のクラウド経由でClaudeを入れている会社は今回の対象から外れる。研究のためだけに直接の契約を足すかどうかを、情報システム部門と先に決めておきたい。
- Claude ProやMaxでLSVPは使える?
- 今は使えない。申し込みページにはFree・Pro・Maxのプランは対象外と書かれている。使えるのはClaude for EnterpriseとTeamプランの組織、それにAnthropicのAPIを直接使う組織だ。Teamは2〜150名向けで、1席 月20ドル(年払い・税抜き)から入れる。AWSやGoogle Cloudなど他社の基盤を通したClaudeも、まだ対象外になっている。
- 日本の会社や大学でもLSVPに申し込める?
- 発表にも申し込みページにも、国の条件は書かれていない。申し込むのは組織の管理者で、フォームで関心を登録したあとにAnthropicが参加できるかを審査する。審査では研究の実績とセキュリティの水準を見る。AInformationが10月26日に日本語のURLで開いても、申し込みページは英語のままだった。登録しても参加は保証されない。
- LSVPで制限はどこまで外れる?
- 許可は2種類ある。Standard Useは科学の作業向けに緩めた判定器を使い、チーム全体に出て1年ごとに更新する。High-risk Useはそれでも止まる領域のための追加の許可で、生命科学の依頼を止める安全策を全部外す。代わりに研究1件ごとの許可になり、6か月ごとに更新が要る。どちらでもサイバー攻撃向けなどほかの安全策は残る。
この記事の出典
補助資料
- [1]Anthropicこの記事の元にした報道
出典の最終確認日:2026年10月26日
