Decision-1は10月9日公開 文章を書かず確率を返す
Microsoftが10月9日(現地時間)に判断特化のAIモデル「Microsoft-Decision-1」を発表した。状況と質問と固定の回答候補を渡すと、候補ごとの確率を1回の処理でJSON形式で返す。開発者向けのMicrosoft FoundryとOpenRouterで提供が始まっている。
土台はAlibabaのオープンウェイトモデル「Qwen3.5-9B」で、Microsoftが追加学習した。確率は実際の正答率と合うように調整(キャリブレーション)してあり、アプリ側は確率を見て処理を進めるか人の確認に回すかを決められる。今後はMicrosoft AIやOpenAIのモデルを土台にしたものへ切り替えていくとしている。
Microsoftによると、学習に使っていない36のベンチマークで正答率が最も高かった。速さは2位のH2O-Lightning-4B v1.1の2.5倍で、OpenAIのGPT-6 Solより35倍速いという。Xboxの研究チームは1万件超のフィードバックの分類に使った。品質を保ったまま14倍以上速く、コストは200分の1になったとしている。

- 9/15TypeSafe AIが判断特化モデル「Jev」を発表
- 9/29OpenAIがDecisions APIのプレビューを発表
- 10/9MicrosoftがMicrosoft-Decision-1を発表
Decision-1は分類向け 文章生成と要約はできない
向いているのは、はい/いいえ・多肢選択・点数付けのように答えの形が決まっている仕事だ。想定されている用途は問い合わせの振り分けや優先順位付けだ。AIエージェントの次の行動を通すかどうかの判断や、AIの出力の採点とデータのラベル付けにも使える。
文章の生成・自由回答・会話・翻訳・要約には対応しない。読み込める長さは3万2768トークンで、入出力はテキストだけだ。与信・雇用・医療のように人に関わる重大な決定を、このモデルだけで下さないようMicrosoftは求めている。
判断特化AIの料金と中身
| 項目 | Microsoft-Decision-1 | Jev | OpenAI Decisions API |
|---|---|---|---|
| 入力100万トークン | 0.042ドル | 0.042ドル | 0.10ドル |
| 出力 | 0円 | 0円 | 0円 |
| 発表 | 10月9日 | 9月15日 | 9月29日(プレビュー) |
| 土台のモデル | Qwen3.5-9B | 記載なし | Luna |
入力100万トークン約6.6円 OpenAIのDecisions APIの4割だ
料金は入力100万トークン0.042ドルで、出力は0円だ。10月9日の欧州中央銀行の参照値(1ドル158.25円)で直すと約6.6円になる。9月15日に米TypeSafe AIが出した判断特化モデル「Jev」とまったく同じ値段にそろえてきた。
9月29日にプレビューが出たOpenAIのDecisions APIは、公式の説明書で入力100万トークン0.10ドル(約15.8円)と書いている。Decision-1はその4割で済む計算だ。
AInformationが10月7日にDecisions APIで4択の質問を投げたとき、1回の入力は中央値で170トークンだった。同じ大きさの質問を10万件流すと1,700万トークンになる。Decision-1は約113円で、Decisions APIは約269円だ。トークンの数え方はモデルごとに違うので、あくまで目安だ。

OpenRouterの画面では試せない サインインが要る
OpenRouterのモデルのページを開くと提供元はAzureの1社だけで、応答の中央値は0.29秒と出ていた。画面にはエージェントの見張り・問い合わせの振り分け・見込み客の判定の3つのお試しが並ぶ。ただし「Sign in to try this model」と出て、サインインしないと1回も試すことができなかった。
試す前に、社内で「答えの形が決まっている仕事」を1つ選んでおきたい。問い合わせの振り分けなら、過去の100件ほどに正解の振り先を付けておく。そうすると確率のしきい値をどこに置くかを比べられる。文章生成のAIで同じ仕事をしている場合は、月の件数とトークン数を並べると差額が見える。

- キャリブレーション
- AIが出す確率を実際の正答率に合わせる調整。80%と出た答えが本当に8割当たるようにする
判断特化のモデルが効くのは、AIエージェントを社内で動かすときの見張り役だ。文章生成のAIに「この操作を通してよいか」を毎回考えさせると、待ち時間も費用も積み上がる。確率で返ってくれば、しきい値を決めて低いものだけ人に回す設計にできる。つまずくのはしきい値を誰が決めるかで、業務部門と情報システム部門のどちらが持つかを先に決めないと止まる。土台のモデルが後から入れ替わるとMicrosoftは言っているので、入れ替わった月に確率の出方が変わらないか確かめる手順も要りそうだ。
- Microsoft-Decision-1はいくらかかる?
- 入力100万トークンあたり0.042ドルで、出力は0円です。10月9日の欧州中央銀行の参照値(1ドル158.25円)で約6.6円になります。1回170トークンの質問を10万件流しても約113円の計算です。TypeSafe AIのJevと同じ値段で、OpenAIのDecisions APIの0.10ドルより安く設定されています。
- Microsoft-Decision-1で文章の生成や要約はできる?
- できません。返すのは決めた回答候補ごとの確率だけで、文章生成・自由回答・会話・翻訳・要約には対応していません。読み込める長さは3万2768トークンで、入出力はテキストだけです。向いているのは問い合わせの振り分けや優先順位付けです。AIエージェントの行動の可否判断やAIの出力の採点にも使えます。
- Microsoft-Decision-1はどこで使える?
- MicrosoftのAI開発基盤Microsoft Foundryと、複数のモデルをAPIで使えるOpenRouterで提供されています。OpenRouterのページには3つのお試しが並びますが、サインインしないと試すことができませんでした。提供元はAzureの1社だけで、応答の中央値は0.29秒と表示されていました。
この記事の出典
補助資料
- [1]ITmedia AI+この記事の元にした報道
出典の最終確認日:2026年10月12日
