デジタル庁のHarunobu ExcelとCSVを100点満点で採点する
デジタル庁は、ExcelやCSVが機械にとって読みやすいかを判定するツール「Harunobu」をGitHubで公開した。紙に印刷したときの見た目を優先し、セル結合などを多用したいわゆる「神Excel」の対策に使える。Excel・CSV・TSVを、行政データの機械可読性ルールに沿って100点満点で採点する。
判定はルールベースで動く。デジタル庁の公式ブログは「100回採点すれば100回とも同じ結果が返されます」と書いている。生成AIに判定させると答えがぶれるので、そこを避けた作りだ。軽く動くので、人が1つずつ見るより速く大量のファイルを処理できるという。
名前は江戸時代の浮世絵師、鈴木春信から取った。神Excelという紙に複数のルールを版のように重ね、きれいなデータに仕上げるという意味を込めている。

- 3/31政府の会議で機械可読性ルールが決まる
- 10/21デジタル庁がHarunobuをブログで紹介
採点の元は30項目のルール レベル1から3まで3段ある
物差しになるのは、2026年3月31日に政府の会議で決まった行政データの機械可読性ルールだ。リポジトリにはレベル1が15項目、レベル2が6項目、レベル3が9項目の計30項目がJSONとCSVで入っている。
| レベル | 満たすとできること(公式ブログ) | ルールの例 |
|---|---|---|
| レベル1(15項目) | 機械で閲覧・転記できる | セルを結合しない・1シートに1表・スペースで体裁を整えない |
| レベル2(6項目) | 集計・分析できる | 数値に文字を混ぜない・項目名を省略しない |
| レベル3(9項目) | データの連携と自動化ができる | コード表や定義を添える など |
結果はJSONで出て、どのセルがどのルールに引っかかったかが全部並ぶ。これをAIへの指示書として渡せるのが狙いだ。ツールの部分はMITライセンスで、使うのに料金はかからない。動かすにはPython 3.10以上が要る。

手元で神Excelを採点 0点と100点に分かれ2か所は素通りした
AInformationは10月21日、Harunobuを手元のMacに入れて試した。支店別の売上表をわざと崩した神Excelと、同じ中身を縦長の1表に整えたExcelの2つを用意した。採点にかかったのは1ファイル0.2秒ほどだった。
| AInformation独自検証(10月21日・各1回) | 神Excel | 整えた表 |
|---|---|---|
| レベル1の点数 | 0点 | 100点 |
| レベル2の点数 | 0点 | 100点 |
| 仕込んだ崩し9か所の指摘 | 7か所 | 崩しなし |
セル結合と表の途中の空白行は、重大度がいちばん重いfatalの扱いで、その時点でレベル1は0点になった。タイトルと作成日の行、合計の行、氏名の中の全角スペース、「1,200千円」のような単位入りの数字、支店名を空欄にした省略も、セルの番地つきで指摘された。
見逃したのは2か所だ。空欄の代わりに入れた「-」と、数値の列に入れた「6百」は、Harunobuが指摘できなかった。「6百」は空白行の下に1行だけ残した部分にあり、別の小さな表として扱われたためとみられる。公式ブログも、判定が一例の実装であり対象外のルールがあると断っている。0点が出たら直す場所の一覧として使い、100点でも目で1度見ておくのが確実だ。

ChatGPTと組むなら直すのはプログラムに任せる
デジタル庁は、採点結果をChatGPTに渡してデータを直す手順も公開した。ポイントは、AIに表を直接書き換えさせず、整形するPythonプログラムを書かせる点だ。プログラムなら同じファイルから毎回同じ結果が出る。
- 崩れたファイルをHarunobuで採点する
- 採点結果とファイルをAIに読ませる
- AIに整形プログラムを作らせて実行する
- できたファイルをもう1度Harunobuで採点する
ブログでは、無料で使えるChatGPTのGPT-5.6 Lunaでこの流れを試し、きれいな1枚の表に直せたと紹介している。社内の売上表や集計表をAIに分析させてもうまく読まない人は、先にHarunobuで点数を見ると原因の当たりが付く。外部のAIに社内データを渡すときは、会社の利用ルールを先に確かめておきたい。
- 機械可読性
- システムやAIから見たデータの読みやすさ。セル結合や項目の省略があると機械が読み間違える原因になる
企業のAI導入で最初につまずくのは、AIの性能より社内のExcelの形だとみている。部署ごとに作った報告用の表は結合と小計だらけで、そのまま渡すとAIが列を取り違える。Harunobuはその現状を点数で見せられるのが強い。情報システム部門が共有フォルダのExcelをまとめて採点し、部署ごとの平均点を出すだけでも、どこから直すかの順番が決まる。ただ今回の試験のように見逃しもあるので、100点を合格の印にせず直す場所の一覧として使うのがよさそうだ。
- Harunobuは無料で使える?
- 使える。デジタル庁がGitHubで公開していて、ツールの部分はMITライセンスで料金はかからない。Python 3.10以上の環境で動き、コマンドで採点するほか、ブラウザでファイルを上げて結果を見る画面も用意されている。AIで判定を補う機能は任意で、使う場合だけGeminiやOpenAIなどのAPIキーが要る。
- Harunobuで100点なら神Excelは直ったと言える?
- 言い切れない。AInformationが10月21日に試したところ、仕込んだ崩し9か所のうち「-」と「6百」の2か所は指摘されなかった。デジタル庁の公式ブログも、判定は一例の実装で対象外のルールがあると書いている。点数は直す場所の一覧として使い、最後は人の目で確かめるのが確実だ。
- HarunobuはChatGPTと一緒に使える?
- 使える。採点結果はJSONで出るので、ファイルと一緒にChatGPTへ渡して整形用のPythonプログラムを書かせる。デジタル庁の公式ブログは無料で使えるGPT-5.6 Lunaでこの手順を試し、1枚の表に直せたと紹介している。AIに表を直接書き換えさせないのがコツで、プログラムなら毎回同じ結果になる。
この記事の出典
補助資料
- [1]ITmedia AI+この記事の元にした報道
出典の最終確認日:2026年10月21日
