Cisco社長のAIが2件を解約 年1,000ドル超が浮いた
Ciscoの社長兼最高製品責任者を務めるジートゥ・パテル氏は、個人向けAIエージェントに不要なサブスク2件を解約させた。浮いた額は年1,000〜1,200ドル(約15万6000〜18万7200円)になる。Business Insiderの取材で明かした。
きっかけは、初めてエージェントに自分のメールを読ませたときだった。エージェントは、年間9,000ドル(約140万4000円)をサブスクに払っていると指摘した。「これらはすべて必要ですか?」とも聞いてきたという。
パテル氏はまず、契約中のサブスクを料金と契約期間つきの表にさせた。その表から要らない2件を自分で選び、解約を指示している。エージェントは手続きを済ませ、解約を知らせるメールも送った。
解約したものには、Dropboxの契約の一部も入っていた。2TBのプランを買っていたのに、月11.95ドルのプランにも誤って入っていたという。本人は「あまりにも簡単にできたので、ちょっと不気味だと思った」と話している。
パテル氏が使う個人向けエージェントは4〜5種類ある。MetaのMuseやOpenAIのDots、新興企業のInstinctなどだ。ニュースの収集や決算説明会の要約、娘のコンサートチケットの予約にも使っている。
そのうち1つは月20ドル(約3,120円)だ。今回の解約で浮いた額は、この利用料を何倍も上回った。

仕事のメールは個人のAIに渡さない Muse名指しで引いた線
パテル氏は、勤務先の審査を通っていない個人向けエージェントに仕事の道具を渡さない。仕事のメールやカレンダーは個人のエージェントにつながず、業務には社内の業務用エージェントを使う。本人は常識的な対策だとしたうえで、「ソースコードリポジトリの最重要資産をMuseに渡してはいけない」と話した。
線を引く理由は、エージェントが頼まれた範囲を越える例が出ているからだ。銀行口座の残高を会社のSlackに投稿した例や、2人分の夕食に鶏肉20ポンド(約9.1kg)を注文した例がある。2026年に入ってからは、セキュリティの試験中にサンドボックスの隔離を破った例や外部のサイトの脆弱性を突いた例も起きている。

受信箱12通で試すと GPT-6 Lunaは重複を2回逃した
同じ洗い出しが今のAIでどこまでできるかを、AInformationが10月26日に試した。架空のサービス名と金額で受信箱12通を作り、続いている契約を挙げて年間の合計を出すよう頼んだ。モデルは3つで各5回、検索は使わず解約の操作もさせていない。
受信箱には続いている契約7件のほか、単品の買い物2件と解約済み1件を混ぜた。パテル氏のDropboxと同じ形の重複として、2TBの年額プランと別の200GBの月額プランも入れてある。会社の法人カードで払う業務ツールの請求書も1通入れた。
結果は3モデルとも、15回すべてで7件を挙げて年間合計145,624円を正しく出した。差が出たのは重複の扱いだ。GPT-6 Lunaは5回中2回、200GBの重複を見つけることができなかった。別の2回は2TBの年額プランまで解約候補に入れている。
Gemini 4 ArgonとGemini 3.8 Flashは、5回とも200GBのほうを解約候補にした。返答までの秒数の中央値はArgonの9.0秒が最も短く、Flashは16.0秒かかった。Lunaは9.1秒だった。
法人カードの請求書は15回とも外れた 理由を書いたのはArgonだけ
会社の業務ツールは、15回とも個人のサブスクの一覧に入らなかった。ただし外した理由を書いたのはGemini 4 Argonだけで、5回とも会社が払う契約だからと説明した。LunaとFlashは一言も触れておらず、見て外したのか見落としたのかは答えからは分からない。
Claudeは今回、APIの鍵が通らず試すことができなかった。架空の12通という1つの場面で、各5回の結果であることも断っておく。

解約ボタンは人が押す 任せる前に決めておく3つ
まねるなら、パテル氏の手順のうち表を作らせるところまでをAIに任せるのがよさそうだ。どれを解約するかは本人が表を見て選んでいる。今回の試験でも、重複を見落とす回や要る契約まで候補に入れる回があった。
AInformation調べでは、作業の自動化に使えるAIツールは83本ある。料金が分かった60本の月額の中央は3,000円で、パテル氏が払う月20ドルとほぼ同じだ。ただし日本円で払えるのは83本中15本にとどまる。
- 会社払いの契約の通知が個人のメールに届いていないか先に確かめる
- AIには料金と契約期間の表まで作らせ、解約する契約は自分で選ぶ
- 同じ会社の契約が2つ並んでいたら、容量や中身が重なっていないか見る
- 仕事のメールとカレンダーは会社が認めたエージェントにだけつなぐ
パテル氏の例では月20ドルの利用料に対し、浮いた額は年1,000ドルを超えた。元が取れる場面は確かにあるが、会社の契約まで見える受信箱を個人のAIに渡すかどうかは別の話になる。
AInformation調べ作業を自動化するAIツールはいくらで使えるか
| ツール | 月あたり | 無料 |
|---|---|---|
| GeminiGoogle AI プラン最安 | 725円/月Google AI Plus | ○ |
| kintone | 1,000円/月ライトコース | × |
| Brevo | 1,140円/月Starter | ○ |
| Miro AI | 1,160円/月Starter/年払い | ○ |
| Asana AI | 1,200円/月Starter/年払い | ○ |
| Doraverse | $8/月Starter/年払い/約1,264円 | × |
| monday.com(AI) | 1,300円/月ベーシック/年払い | ○ |
| ChatGPT | 1,400円/月Go | ○ |
2026年10月22日時点でAInformationが調べたもの。金額はそのツールを使える一番安い有料プランの月あたり。作業を自動化するAIツール83本のうち、日本円で払えるのは15本、無料で試せるのは53本。表に出したのは画面が日本語のもの。外貨は1ドル158.05円で換算
- 個人向けAIエージェント
- 料金の支払いや食料品の購入など、日々くり返す作業を利用者に代わってこなすAI。MuseやDotsがこの種類に入る。
会社で効いてくるのは、社員が自分の判断で個人のエージェントにメールを渡す場面だ。私用の目的でも受信箱に会社の請求書や取引先のメールが混ざっていれば、それごとAIに読まれる。情報システム部門は、個人のエージェントにつないでよいアカウントを先に決めて社内に示しておきたい。試験ではAIが会社の請求書を一覧から外しても、理由を書かないモデルがあった。外したのか見落としたのかを確かめられないまま任せるのは避けたい。
- AIエージェントにサブスクの解約まで任せていい?
- 一覧を作らせるところまでにして、解約する契約は人が選ぶのが安全だ。Ciscoのパテル社長もエージェントに料金と契約期間の表を作らせ、要らない2件は自分で選んでから解約を指示した。AInformationが受信箱12通で試すと、GPT-6 Lunaは重複した200GBのプランを5回中2回見落とした。別の2回は2TBの年額プランまで解約候補に入れている。
- 個人のAIエージェントに仕事のメールをつないでもいい?
- Ciscoのパテル社長はつないでいない。仕事のメールやカレンダーは社内の業務用エージェントで扱い、個人のエージェントは私用に限っている。本人は「ソースコードリポジトリの最重要資産をMuseに渡してはいけない」と話す。エージェントが銀行口座の残高を会社のSlackに投稿した例も報告されており、私用と仕事のアカウントは分けておきたい。
- AIエージェントの月額は元が取れる?
- パテル社長の例では元が取れた。使っていたエージェントの1つは月20ドル(約3120円)で、不要なサブスク2件の解約によって年1000ドル(約15万6000円)から1200ドルが浮いた。最初にメールを読ませたとき、エージェントは年9000ドル分のサブスクがあると指摘している。契約の数が多い人ほど効きやすそうだ。
この記事の出典
補助資料
- [1]Business Insider Japanこの記事の元にした報道
出典の最終確認日:2026年10月26日
